公益社団法人
日本産科婦人科学会
理事長 加藤 聖子
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公益社団法人
日本産科婦人科学会
理事長 加藤 聖子
ご挨拶~産婦人科医の世界を覗いてみませんか~
日本産科婦人科学会理事長の加藤 聖子です。
この「産婦人科医への扉」のコーナーを見てくれてありがとうございます。
さて医学生の皆さんは、今、どういう生活をしていますか?
部活動に明け暮れている人、自分の趣味に没頭している人、時間ができれば旅行に行っている人、好きな本を読みあさっている人、勉強を頑張っている人、バイトに勤しんでいる人、なんとなく日々過ごしている人、、、、色々あると思います。私は音楽が好きなので、学生時代は、全学のマンドリンクラブに入って、日々練習に明け暮れておりました。文化系サークルと思っていたのが大きな間違いで、年4回の合宿を始め、日々の練習は体力が勝負の世界でした。この時一緒にすごした他の学部の人達とは今も交流が続いています。学生時代しかできないことをやってみてください。やりたいことがない、、という人も安心してください。何もしない、、というのも学生時代の特権です。
しかし、どんな人も少し先の未来のことは考えると思います。でも学生時代は医師の世界を想像するのは難しいかもしれません。
では、初期研修医の皆さんは今どんな生活を送っていますか?学生時代に想像していた世界でしょうか?充実していますか?それとも少し疲れていますか?もうすぐ専攻する診療科を決めなければならないのに、研修で回った診療科はどこも面白く迷っている人、あるいはどこにも興味が湧かないという人、そして産婦人科に魅力を感じた人、いろいろあると思います。
我々が卒業した時代(私は1986年です)は、初期研修医制度がなかったので、学生時代の自分の経験と知識と直感で診療科を選んでいました。私は「生命の発生から終末期までの女性の一生を診る」ということに魅力を感じ、産婦人科の門をたたきました。その後の日々を振り返るとこの直感は間違ってはいなかったと思います。それは運が良かったのかもしれません。でも、今は違います。情報が得られる時代です。
医学生・初期研修医のみなさん、是非このコーナーを読んでください。このコーナーは医学生の皆さんや初期研修医の皆さんに産婦人科の魅力をお伝えするべく、日本産科婦人科学会産婦人科未来委員会内の若手委員会の皆さんが作ってくれています。日本産科婦人科学会はこういう若手の先生が頑張っています。歴代委員長の下、全国から約20人の若い先生方が集まり、忙しい中、時間を作って産婦人科の未来のために様々なプロジェクトを実行してくれています。皆さんの先輩たちがどんなことを考えているのか、どんな夢を持っているのかを覗き見ることができます。先輩たちの経験、悩み、喜び、やりがい、、いろいろ感じることができると思います。そしてもっと知りたい、学んでみたいと思ったら、是非、サマースクール・POP2などいろいろな企画に参加してみてください。きっと、皆さんの未来の扉がそこに見えてくると思います。我々はそんなあなた方に会えるのを楽しみにしています。
日本産科婦人科学会
産婦人科未来委員会 委員長
鳥取大学
産科婦人科 教授
谷口 文紀
「産婦人科医への扉」のホームページにようこそ。令和5年度より、第4代の産婦人科未来委員会委員長を務めます谷口 文紀と申します。
私が医師になって早いもので約30年になりましたが、今まで産婦人科の道に進んだことを後悔したことはありません。産婦人科医は、女性の一生を支え、次世代を育み、わが国を健康で幸福感に満ちた社会にするためのお手伝いをする責務を担っています。医師になった当時は、「試験管ベビー」といわれた体外受精・顕微授精が脚光を浴びていた時期でした。顕微鏡越しにみえる卵子や発育する胚の神秘性や美しさに魅せられ、「0が1になる」創造的な治療に感動したことが、この仕事を続けている源流にあります。
昔になってしまいましたが、自分が産婦人科を選択するにあたっては、患者さんと喜びを共有できる場所、明るい場所にいたいという思いがありました。生命の誕生に携わることができ、やりがいと充実感を抱いて、患者さんとご家族のために働ける類のない仕事であります。また、研究の対象としても生命の根源を扱う分野が多く、謎に満ちた未解決な課題に対して、みなさんが注力するに値すると思います。
近い将来、AIによる医療変革が起こることは確実であり、この潮流に後れを取らないことも大切ですが、医療現場で最も重要なことは相手を思いやる心の醸成であります。みなさんは医師として、人間力を磨いて社会に貢献する責務がありますが、献身的な医療を実践する場として、産婦人科は魅力的な診療科であると思います。よりよい社会のために、全国の若手医師が協力して、優しく強い集団を作ってほしいと願っております。産婦人科未来委員会では、一人でも多くの後輩に仲間になってもらうために、若手医師が一生懸命にさまざまな取り組みを行っています。みなさんも産婦人科の世界に飛び込んでこられませんか。